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2008.07.29

検証「夏は牝馬!」

 競馬にまつわる格言の一つに「夏は牝馬」というのがある。真夏のパドック、男馬が覇気のない目つきと歩様で、いかにもダルそうに歩くかたわらを、牝馬が軽やかに颯爽と周回する場面にぶつかることがある。

 ……でも、待てよ、それは「牝馬は夏に強い」という先入観が目を曇らせているのかも知れない……
 ということで検証をしてみた。春と夏、比べる条件をなるべく同じにするため、
春=5月24~26日の水沢+5月31~6月2日の盛岡
夏=7月19~21日の盛岡+7月26~28日の水沢
と、開催変わりをはさんだ2週間を例にとり「夏に強い牝馬」が本当か確かめてみた。

 まず、サンプルとなる各6日間中から、「牝馬特別」と「牝馬の出走しないレース」を除外した総レース数、総出走頭数、出走馬中の牝馬の数と占有率をしらべた。


    対象レース数   出走馬   (牝馬)   占有率
 春     63       606    (280)   46.2パーセント
 夏     65       634    (295)   46.5パーセント


ということで、比較する二つの期間中で大差の無いことが確認できた。

 そして馬券の対象となった頭数を比較してみた

    レース数 1着 2着 3着 勝率  連対率
 春    63  21  26  29 .333  .376
 夏    65  28  34  32 .431  .480


 なるほど、夏の方が勝率・連対率ともに10パーセント前後高くなっていた。伸び率でいえば20~25パーセント馬券に絡む率が高くなっていた。
 実は同じ調査を過去にも2度行ったことがあるのだが、今回を含め3回ともほぼ同じ結果が得られている。どうやら「牝馬は夏に強い」という格言は本当と思ってよさそうだ。

 さて、そこで「なぜ、牝馬は夏に強いのか」という理由だが、「夏は新馬戦がくまれ仕上がり早の牝馬が活躍する」「牡馬が休養に入り、牝馬の出走数が多くなる」という見方については、今年に限っていえば全く根拠が無かった。

 「夏場になると相対的に体が大きい牡馬は、体内に熱を溜め込んでしまうので体が小さい牝馬が有利」という意見は傾聴に値する。

牡馬の勝ちクラを見ると
    500kg以上   450kg未満
 春    9        4
 夏    4        8


(一方の牝馬は、もともと500kg以上のグラマーが少なく、春夏とも勝ち馬の体重は430~460kgあたりが中心であり、有意の差は見出しがたい。)
 「牝馬が走るようになる」、というよりは「男の大型馬がバテて走らなくなる」という部分が大きいかもしれない。
……でも、それが最大の要因というのは味気がないわけで、ここはやはり、「人間といっしょですよ、夏になると女の子のほうが元気いいでしょ、浜辺でビキニ着てワイワイキャーキャーやってるそばで、男はダラ~ンと寝そべってることが多いじゃないですか、夏は女の子ですよ!ワハハ」というかなり乱暴でセクハラまがいの答えを寄せてくれた某関係者の意見をベストアンサーとして記しておく事にしよう……。
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Posted at 19:58 | 岩手競馬 | TB(0) |
2008.07.12

ウイングアローの切なき思い

ウイングアロー(東北牧場にて) ウイングアロー産駒の勢いが止まらない。
 6日の新馬2クラ(盛岡・芝1000m)は、ともに老舗・賀張三浦牧場生産で同馬主のウイングアロー産駒、ダンストングラン、ダンストンジールが連勝した。
 ハイレベルのメンバー相手に差しきったダンストングランの切れ味、好時計(59秒3)で逃げ切ったダンストンジールの高い素質をうかがわせるスピード、いずれも見どころ十分の走りだった。加えてもう一頭、世代トップを走るカミノフジ相手に、2走2着に健闘した牝馬フジフーフーもおり、どうやらウイングアローの子の豊作年のおもむきがある。

 2002年に引退、北海道で種牡馬入りしたウイングアローは、2005年デビューの初年度産駒から、ご存知サイレントエクセル(2006・2007岩手競馬年度代表牝馬)を輩出した。今年から青森・東北牧場に腰を落ち着けたが、思えばウイングアローは「岩手」とはなにかと縁の深かった馬である。

 ちょうど10年前の1998年、この年3歳(当時の表記で4歳)のウイングアローは絶好調で秋を迎えていた。7月にG3の名古屋優駿、旭川のグランシャリオカップを連覇、夏を休養に当てたあと、10月になって当時ダート三冠と位置づけられていた路線に狙いを定めた。JRA・中山のG3ユニコーンSで一冠目、南関東・大井のG2スーパーダートダービーで二冠目を奪取、そして三冠レースの最終関門、11月23日に盛岡競馬場で行われるG1・ダービーグランプリに勇躍駒を進めてきた。

 自他共に認める大本命として迎えるはずだった大一番は、しかし、時ならぬ大雪の影響で「レース中止」のアクシデントに見舞われる事になる。
 当日の大雪を、私自身は一関~盛岡間で行われた駅伝の中継車の上で体験したのだが、先導の白バイが平泉・中尊寺前の坂でスリップしてリタイアするほどの降り方だった。盛岡ではさらに多量の降雪があったようで、競馬の中止はやむをえなかった。
 ダービーグランプリは3週間後、水沢競馬場に舞台を移して行われたが、小回りで直線の短い水沢は得手にかからなかったか、また、三冠達成にむけて一度完璧に仕上げた反動があったものか、先に抜け出したナリタホマレを捉えきれずにウイングアローは2着に泣いた。幻の三冠馬と呼ばれるゆえんである。

 古馬になったウイングアローは、4・5・6歳時に3年連続でG1・南部杯に出走した。着順を記せば、4歳時がニホンピロジュピタの3着、5歳時がゴールドティアラの2着、6歳時がアグネスデジタルの5着。後一歩及ばず、岩手では結局勝てなかった。
 現役最後のレースとなった大井の東京大賞展は1番人気ながら10着。引導を渡す形となったのが、岩手所属のトーホウエンペラーだったのも何かの縁であろうか。

 現役時代「鬼門」とも言えた、ウイングアローにとっての岩手。その岩手での産駒の爆発は、科学的にみれば偶然の域を出ないのだろうが、不思議な意思が働いているのではと考えたくもなる。

 ウイングアローの血統を遡れば、母系の祖は名牝マーシュメドウに行き着く。マーシュメドウからは昭和43年朝日杯を勝ち、京王杯SHで名人保田隆良の引退に花をそえたミノルが出ている。自身ダービーは無念の2着。種牡馬としても大物を出す事が出来なかったが、岩手を終の棲家にえらび、紫波町の牧場で人々の愛情に包まれながら生涯を閉じたと聞く。
 ウイングアローを貫く血には、何らかの形で岩手に恩返しをしたいDNAが刷り込まれていたと考えるのは、さすがにロマンチックすぎるだろう。

 ・・・しかし運命への「仕返し」ならば、走る子を送り込む必要は無い。逆襲の根拠は「恨み」ではなく、「執念」「あこがれ」「渇望」・・・。あまりに情緒的すぎるが、そう考えたい。

 ウイングアローは、4度の敗戦を味わった岩手に忘れ物を取りにいきたいのだ。もう走れなくなった自分に代わって、息子や娘たちに夢をかなえて欲しいのだ。そして自らの本当の力を認めて欲しい最大の理由は、なにより、かつて先祖がそうされたように岩手の人に愛されたいからだと思うのだ。
Posted at 20:28 | 岩手競馬 | TB(0) |
2008.07.05

175戦目のオジサンパワー

 時々この頁で長持ち馬を取り上げているが、6月28日には記録的な勝利をあげた馬が登場した。水沢・小野寺敏厩舎所属の牡の9歳馬トーコーガリバーだ。

この日の第3レースに登場したトーコーガリバーは5番人気ながら、3番手につけ直線見事に抜け出した。盛岡のダート1200mのレースでの出来事だったが、なんとこれが175戦目!岩手所属時にマークされた勝ち星としてはもっとも遅い記録を塗り替えた。マツリタイザンの持っていた159戦目勝利の記録を大幅に更新した。

 数戦前から好調をうかがわせる走りを見せていたが、このレースの他の馬は全馬6歳以下。若い勢力にあらがって勝つのは正直難しいと思えたのだが、年の差なんて関係ない、とばかりに勝ちきって見せた。脱帽の一言。

 履歴を調べれば、もと中央1勝馬。4歳の9月に地方入りし、兵庫C1・名古屋Bクラスを経て5歳の5月に転入してきた。以来最下級で経験を積み重ねているが、去年のシーズンオフには古巣の名古屋に転籍し、A級で戦った事もあった。
 地力はある馬であり、C2クラスなら当然チャンスはあるように思えたが、3着が多く、買うに買えず、捨てるに捨てられないといった存在だった。それが鮮やかな勝利で記録を作ったのだから、まさしく“恐れ入りました”である。

 そして当然まだまだやれると思えるが、元来3着が多く、どちらかといえば地味な存在だったこの馬の「重要度」が増す、発売面の改革が目前にせまった。
 C2クラス下位のトーコーガリバーは、一日の前半のレースに出走する場合が多いわけだが、7月12日から「1レース目から3連単馬券を発売」となると、この馬が馬券作戦のカギを握るケースが増えそうな気がするのだ。

 フフフ、君たち、オジサンを見くびると痛い目にあうかもね……とばかりトーコーガリバーはその名前のごとく「大きな存在」となる事も予想されよう。
Posted at 10:53 | 岩手競馬 | TB(0) |
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